宿題廃止、定期テスト廃止、固定担任制度廃止など、画期的な改革をしてきた元麹町中学校長の工藤氏。
GIGAスクール構想が全国で進んでいるけれど、ICT教育導入の課題について、
「重要なことは、ICTを使うことが目的であってはならないということです。子どもたちが将来、どのような大人になっているのか。そこから逆算してICTをどう使うのかを考える。ICTを使って今こそ、学校教育の学びのスタイルを変えるきっかけにすべきなのです」
と工藤氏は語る。1人1端末導入しても、そこでどんなスタイルの授業がされるのか、その中身が問われているということだ。端末はツールでしかない。文房具のように、使いこなす。
そして、デジタルだからこそできる双方向性、主体性の育み。知識注入型、大学受験を目標とした一斉授業型の学習法が限界を迎えている。
「知識を与え続けられるだけの学びは、子どもたちの主体性を奪ってしまいます。本来、世の中のスタイルは、何でも対話が基本で双方向であるはずです。ただ、今になって突然、子どもたちに対話を促してもうまくいきません。受け身の学びのスタイルに慣れてしまっているからです。
教育先進国のフィンランドが行った教育改革のように、もし学ぶ側にカリキュラムや学び方を主体的に選ぶ権利があれば、学ぶ側は確実に能動的な姿勢に変わっていきます。そうすれば、自分から対話を始め、学び合う。そんな子どもたちに変えることができるのです」