SNSで知り合った男性から精子提供を受け出産した30代の女性が、男性が国籍や学歴を偽っていたなどとして、3億3000万円の損害賠償を求め、訴えを起こした…というこのニュース。
20代の頃、代理母出産とか出生前診断、不妊治療などの生命倫理学的なことに興味があり、調べて文章を書いていました。
不妊治療や遺伝子解析などの技術がどんどん進むにつれ、不妊に悩む人たちに最先端医療は希望を与えるけれど、
精子・卵子バンクで子どもをあたかも「商品」のように捉え、(青い目でIQ150で音楽的素養があって身長180以上、などの精子・卵子提供者の属性ごとにランク付けがあって値段が違うとか…)
どんどん人間を遺伝子という要素に分解して、カタログショッピングのように捉える優生学的な未来、
そしてお金持ちは遺伝子サイボーグ的に子ども=「デザイナーズベビー」を作り、
貧乏人はそのままアナログ的性行為で子どもを宿す身分制度、階級制度のはっきりした未来がやってくるかもしれない、と暗い気持ちになった。
このケースは不妊治療の技術を利用しているわけではないですが、根底に流れる価値観としては同じような世界…
児童養護施設に入れられた第2子にとっては、母親に遺伝子で自分の存在を値踏みされ判断されるという、悪夢のような残酷な現実…
この子が今後どう育っていくのだろう…自分の出自を知ったとき、どう感じるのだろう…
この会社経営者の女性は、お金儲けは能力高いようですが、人としての大切な部分が欠落してしまっている。
精子提供の法的整備とともに、生命倫理学的な議論を早急に積み上げないと。もう20年以上前から、ほとんど進んでいない…
代理母問題、出生前診断など、不妊治療、遺伝子解析の科学技術が発達することに合わせて、倫理的議論が必要。
あなたは、科学技術の発達の恩恵を受けることと、人間の出生という事実の中の倫理的問題を、どこまで許容しますか?
日本は現在、他人の男性の精子提供を受けて人口受精(=非配偶者間人口受精・AID)は認められていますが、卵子提供や代理母は認められていないため、海外での施術が必要になり、莫大な費用がかかります…
男性不妊の無精子症には解決策はあるが、その他の男性不妊や女性不妊にはハードルが高い。また、精子提供の法整備や倫理的議論は進んでいません…
以下、記事から
〜略〜
訴状などによりますと、都内の30代の会社経営者の女性は、夫との間に第1子をもうけた後、夫に遺伝性の難病の疑いが判明したことなどから、SNSで知り合った20代の男性から性交渉による精子提供を受け、第2子を出産しました。
女性は事前のやりとりから、男性が日本人の未婚者で、京都大学を卒業していると信じていましたが、妊娠後、男性が中国籍の既婚者で別の国立大学を卒業していたことが判明したということです。
このため、女性は精神的苦痛を受けたなどとして、男性におよそ3億3000万円の支払いを求め、先月、提訴しました。
〜中略〜
女性は現在、心身の不調により、精子提供を受け出産した第2子と暮らすのが困難なことから、第2子を児童福祉施設に預けているということです。