朝霞市議会議員 外山まき

朝霞市議会議員外山まきです。基本的にFB投稿の転載。お気軽にコメントで絡んでくださいな。

「レズやゲイが法律で守られたら足立区が滅びる」発言の、裏にある恐れ

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「L(レズビアン)やG(ゲイ)が法律で守られているとなったら、足立区が滅ぶ」と発言した、当選11期のベテラン白石足立区議の発言が話題になっています。


私はこの発言を聞いたとき、とんでもない差別、LGBTに対する無理解とこじつけで、議員なのにどうして少数者の権利について、人権について、こんなに勉強不足なのだろう…と暗く哀しい気持ちになりましたが、


「TVなどでLGBTタレントが増えてきたり、LGBTの権利が世間や自治体で話題になってきたりして、この方はこの人なりの危機感を持って発言しているんだな」


「でも、おそらく身近な存在、自分の友人や家族、親戚、近所の方々、職場の方々にはLGBTの人がいないか、いても気付いてないんだろう」と思いました。


コメント欄に張り付けてある記事を確認してみたら、やはり、「LGBTの人に会ったことない」と語っています。


議会で発言している動画を見てみましたが、保守系のベテラン議員さんは、確固たる票田を持っている方が多く、質問自体しない方もいたり、用意した原稿を読み上げるスタイルが多い中で、白石議員は原稿を一瞥もせず、演説をするかのように、堂々と語っていました。


だから、こんなにも炎上しているのに、謝罪しないといっているのでしょう。本人としては失言だとも思っていない、確信犯なのでしょう。


自分の考えとして練り上げられていて、自分の主張として、真に訴えたいこととして、確信を持って伝えているのだろうと感じました。


少子化の問題から始まり、「正常な結婚」をして子どもを産み育てることが重要、だからLGBTの権利を認めて同性愛者ばかりになったら足立区が滅ぶ、学校教育でも子どもを産み育てることの重要性をもっと教えるべき、と一般質問で述べられているのですが、


まず、少子化はどんどん非正規雇用が増えてきて、子どもを養っていくのに充分な収入が得られない人が増えてきたことに1番の問題があると思います。


ロストジェネレーションと言われる私たちの世代、団塊ジュニアの塊の世代とその少し下の40代、30代後半、同級生や友人を見渡しても子どもを持っている方々は、私の実感として50〜60%くらいです。


特に、団塊ジュニアの人口の多い層が、女性としてはもう子どもを持つのが難しい40代後半になっていることが、少子化対策の遅れとしてネックになっています。


結婚したくても、できない。子どもを持ちたくても、収入が不安定で教育費が心配だ、という人が増えている。決して、LGBTの方々のせいではありません。政治の問題、日本経済、産業構造のあり方の問題です。


また、女性が産休をとると仕事のキャリア形成を諦めなくてはならない、まだまだ男社会の就労のあり方の問題や、添加物の多い食べ物や環境破壊の影響、ストレスなどで不妊が増えていることも一因だと思います。


そのような社会問題を、政治家として解決するために取り組むことが求められていること。昔から一定数は存在しているLGBTの方々の存在に少子化の原因をみていることがそもそもの見当違いです。


そして、人の生き方も多様化してきて、必ずしも子どもを持つことだけが人生の目的ではないし、少なくとも政治家から「子どもを産め」と求められる筋合いのものではなく、自己選択の問題であるということ。


LGBTの権利、というのは特別な権利などではなく、万人に認められた憲法13条の幸福追求権にあたること。だから認めて当たり前、認めないのは差別なのだということ。


政治家は、子どもを持ちたい、と思う人が子どもを産み育てやすい環境を政治で整えるのが仕事です。


少子化で問題になってくる年金、介護保険などの問題は、制度設計を変えるなど別の解決策を探ればいいのです。


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心配しなくても、LGBTのような性の自己認識や、性愛の対象、性的指向というのは、世間一般に求められる性認識・恋愛対象に違和感を感じて、深く自分と見つめあったらLGBTだったと気づいた、というような類のもので、多くは先天的なもの。


一定数は存在するけれど、権利を認められたら、カミングアウトする人は増えるかもしれないけれど、あくまで少数派で多数派にはなりようがないのですよ、安心してください、と白石議員や、同じように感じている人には言葉をかけたい。


「最近、LGBTって流行っているみたいだから、同性を愛してみよう」みたいに、趣味や流行のように、個人が自由に選択するような性質のもの(それくらい自由な社会になったら、楽しいだろうな、と個人的には思いますが)ではない、どうしようもない、内的欲求で切実な問題なのだということ、


性的嗜好」ではなく、「性的指向」なんだということが、おそらく本質的に理解されてないんだろうな、と思います。


78歳の白石議員にとって、自分の若い頃と比べてどんどんLGBTが増えてきている、という実感があるのでしょう。


それはカミングアウトする人が増えてきたり、LGBTタレントが増えてきたり、自治体でもパートナーシップ条例が成立するところが出てきているので、増えてきているように見えるのでしょうが、


昔のほうがLGBTへの理解が現在よりなかったので、隠している方々が多かったり、インターネットが普及もしていないので、そういう方々の声を目にする機会が圧倒的に少なく、当事者への理解が深まらなかったということもあるでしょう。


そもそも、LGBTという言葉が市民権を得て当たり前に使われるようになったのも、白石議員が高齢になってからでしょう。


白石議員にとって、「得体の知れない」「身近に存在のいない」人たちがどこかで知らぬ間に「増殖」している。


そういう「理解できない、未知の存在の増殖に対する恐れ」が根底にあるんだろうな、と思いました。新型コロナに過剰に防御して、「自粛警察」になっている方々の心情と似ているのかもしれない、と。


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2年前、台湾の国民投票の取材に行ったとき、10個あった国民投票のテーマのうち、5つがLGBTに関するものでした。


結果は、5つともLGBTの権利を進めてきた現政権の逆をいく、LGBTの権利を現状よりは制限をかけようとする保守派の主張が選ばれました。


そのとき、私は国民投票している台湾の人たちにアンケートを直接とったり、聞き込みをしたりしたのですが、年齢層が高い人ほど、「LGBTの権利を認めると、伝統的な家族が壊れてしまう」という懸念を示す人が多かった。


キリスト教保守派層が国民投票に向けて作ったCMで、小さな女の子が、「私、大きくなったら女の子と結婚する。だって先生が女の子同士でも結婚できるって言ってたよ」と母親に無邪気に語り、母親の驚いた顔がアップになり、


LGBT教育をすると、このようなことになりかねません。お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんという名称もなくなってしまうかもしれないのです。いまがまさに、未来に向けて決断のとき!国民投票では〇〇番には反対票を入れよう」などという動画がネットで流れていたりしました。


このような、「LGBTというのは個人の自由選択のようなものなので、許したり、権利を異性愛者と同様に与えてしまうと増えてしまう」という誤解がそもそもあるのではないかな、と思います。


政治は弱い人立場の人の権利を守ることが基本、当事者が真面目に話すのであれば話を聞くつもりはある、と白石議員本人は言っているので、当事者の方、しんどいかもしれないけれど直接対話してみることが、この議員の理解のなさを是正する方法かもしれません。


どなたか、当事者の方、白石議員に連絡とってみませんか?私も一緒に行きます。


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私は、台湾国民投票の結果、LGBTの権利が認められなくて、絶望感を持った当事者とその支援者の若い人たちが、国民投票の翌日、「〇〇票の賛同をありがとうフリーハグ」を駅前でしている姿に心打たれました。


国民投票の運動を一生懸命にやり、自分より年齢の高い大人たちから、自分たちの存在を否定されるような投票結果が出てしまったのにも関わらず、結果を受け止め、それでもなお支えてくれた、賛同してくれた人と繋がろうとする強さ。


今回の騒動でも、当事者の人たちから、#私たちはここにいる、滅びてないという肯定的なメッセージがTwitterで起きている。


滅びないから安心して、という、自分たちを迫害するような発言をする人に対して、「未知のものに対する恐れを持つ人」にむけて、「安心して」という肯定的メッセージ。


時代は、確実に動いている。カミングアウトする人も、してない人もネットで繋がれる時代になっている。


この強くたくましいメッセージと、当事者であるかないかに関わらず、繋がる人がどんどん、増えてくるだろう。#LGBTさんと繋がりたい というハッシュタグもあった。


攻撃的でなく、本質を突くようなメッセージは、人の心に届く強さがある。


#私たちはここにいる

#LGBT

#LGBTQ

#LGBTさんと繋がりたい

#基本的人権

#パートナーシップ条例